アルコール依存症のスリップについて
スリップと言ったら、何を想像しますか?
普通は車のタイヤが雨や雪のせいで滑ってしまうこと、あとは女性の下着ですよね。
私がアルコール専門クリニックで勉強していて、初めてスリップという言葉を聞いたときは何となく「滑る、転ぶ」と言うふうに理解しました。
お酒でつまずく、といったことになるのかなと。
アルコール依存症に関して言うと、スリップは再飲酒を意味します。
断酒しているにも関わらず、また飲んでしまうことをスリップと言います。
私も、何回、何十回、いやいや、何百回か?スリップしたな~(笑)
アルコール依存症、スリップはどんな意味
スリップの意味は再飲酒してしまうこと、それは分りました。
アルコール依存症の人が、断酒をしているにも関わらず飲んでしまうのですよ、悲しいですね~。
私がアルコール依存症のディケアで行っていたプログラムに、断酒期間、そしてスリップ報告をするミーティングがありました。
「アルコール依存症の○○です。断酒期間は○○日目です。」や「アルコール依存症の○○です。昨日スリップしてしまいました。」といった感じです。
いくら仲間同士でもスリップ報告をするのには結構な勇気がいるものです。
でも、誰も責めたり怒ったりはしません。
むしろ、仲間は共感してくれ、スタッフは「よく正直に言ってくれましたね、今まで我慢して辛かったでしょう。」とさえ言ってくれるのです。
そう、私たちアルコール依存症はそういう病気なのです。
やめたいと思いつつも飲んでしまうのです。
今回、スリップしてしまった原因を考え、その原因になることを回避できるようにすれば良いのです。
こう考えれば、スリップも悪いことばかりではありません。
とは言え、それまで3年断酒していた人も10年断酒していた人も、断酒カウントは0からになります(泣)
断酒期間より中身がギュっと詰まってないとね!
そう言えば、アルコール依存症をカミングアウトしている友達なんかによく言われるんですけど
「ねぇ、ちょっとぐらいは飲んでるんでしょ~?」って。
「ちょっとでやめられるんだったら、アルコール依存症なんかになってないよ!!」(怒)
スリップもあんまり続くようなら、もはやスリップではなく連続飲酒になってしまいます。
スリップはしない方がいいの?
できれば、しないに越したことはないでしょう。
だからって、スリップをしたとしても落ち込んだり自己嫌悪に陥つてしまうことはないのです。
スリップはアルコール依存症の治療過程の1つなのですから。
正直にスリップしたことを医師やスタッフに話して、その後の治療を続けましょう。
また0からのスタートになりますが、何度でもやり直しはできるのです。
だから、けっして諦めないでくださいね!